安く売らせて、二度儲ける不動産会社の手口

売り主であれば、誰でも少しでも高く売りたい、そう願うものです。
しかし、今回は「相場よりも大幅に安く売らされていた!?」という事例からその実態を知って頂こうと思います。
まずは、売却を仲介する不動産会社のホンネ(実態)を垣間見ることができる象徴的なエピソードをご紹介します。
敷地の広い戸建て住宅を売却したAさんのケースです。

Aさんがある大手不動産会社に売却の仲介を依頼したところ、不動産会社は8000万円の値段をつけて販売を開始しました。
しかし、数カ月間経ってもなかなか売れません。

焦り始めたAさんに不動産会社は、「土地が広すぎるし、価格も高いので、一般の消費者は手が出せない。
しかし、業者さんならその心配もない。6000万円に値下げして業者に下取りさせましょう」と提案。
Aさんはしぶしぶ了承し、6000万円で売却しました。

売却後しばらくしてから、Aさんは自宅のあった場所を訪れて驚愕します。
建物は解体され、4棟分の戸建て用地として売りに出されていたのですが、その価格がそれぞれ2000万円、つまり4棟合計で8000万円だったのです。
しかも売っているのはAさんの自宅売却を仲介し、値下げを提案してきた大手不動産会社です。
「仕方なく値下げして6000万円で下取りさせたのに、それをお宅が8000万円で売っているってどういうことだ!」Aさんは「不当な安値に誘導された」と憤ったのは言うまでもありません。

この話は、価格の部分だけは少し変えていますが、実際にあった出来事です。
最初から8000万円で売れると知っていれば、売り主は値下げに承諾しなかったはずです。
それを「高すぎて売れないから」と値下げさせたのは、不動産会社の売り主に対する重大な背任行為です。

ではなぜ大手不動産会社は、そのようなことをしたのでしょうか。
例えば、今回のこの土地が8000万円ではなかなか売れず、その都度売り主に値下げをお願いし、8000万円→7500万円→7000万円と値下がったところで、運よく買い主が見つかったとしましょう。
この場合に仲介会社が売り主からいただく仲介手数料は7000万円×3%で210万円ほど。
もちろん、これは大金ではありますが、もしこの土地を6000万円で不動産買取会社に買ってもらった場合にこの仲介会社が得られる仲介手数料はいくらでしょうか?

前記同様の計算式で、まずは売主から6000万円×3%=180万円です。
これだけ見れば、価格が下がった分だけ手数料が下がったことになりますが、実際にはこの土地を購入した不動産買取会社からも同額をこの仲介会社はもらうことができるのです。
つまり、両方からそれぞれ3%を得ていることになります。
もちろん、この両方から手数料をいただくことは違法ではありません。
きちんと認められています。
ただ、問題なのは、両方からもらえることを狙って、消費者を騙すかのような手口であることです。

そして、これには続きがあります。
この事例では不動産買取会社に購入させた後、その物件を転売する際にもこの仲介会社が販売を行っていました。
実は、これはとても多くあるパターンで、仲介会社は不動産買取会社に物件を紹介して購入させる際の条件として「転売時の販売は当社が行う」と言う内々の条件をつけているのです。
仲介会社としては、転売時の販売も行うことができれば、そこでもまた仲介手数料を得ることができるのです。

こうして、仲介会社は売主のために少しでも高く売ろうとしているように見えて、実際にはもっと効果的に利益の出る、不動産会社買取と商談がまとまるように仕向けているということを知っておきましょう。